もし家に庭があれば、生活は大きく変わるかもしれません。都会であれば、それは最も身近に感じられる自然になるでしょう。それだけでなく、家の中から眺められる庭の景色は、そこでの生活に安らぎを感じさせるでしょう。今回紹介したいのは、そんな庭を最大限に活かした家です。それを手がけたのは水谷嘉信建築設計事務所。建てられた家は庭が生み出す特別な空間から大きな影響を得られるようになっています。
今回家が建てられたのは三重県の桑名市。敷地の周りには閑静な住宅地が広がっています。そこに建てられたのは住居兼美容室。建物の外観は美容室が入っていることもあり、モダンなものになっています。箱型の建物を組み合わせた形の家で目立つのは白色の壁や杉板が張られた壁。それ以外に目に付くものは無く、余分な要素をそぎ落としたミニマルな印象を与えてくれるでしょう。
ミニマルな印象を与える家に足を踏み入れると、印象的な空間が目に写ります。強い印象を生み出すのは家の中心部分に設けられた中庭。そこには無数の石が敷き詰められています。その上には岩が置かれており、岩や石で造られた枯山水を思い出させるかもしれません。そして家の外観とは少し違ったミニマルな印象を感じることになるでしょう。
このような中庭は様々な表情を見せてくれます。建物や外壁に囲まれた場所はプライベートな空間となります。ですが外壁に取り付けられた木の回転扉を開ければ、外の光や風を中庭にもたらすことができます。もちろん、それは中庭に隣接する家にも届くことになります。そのため風や光を取り入れた空間、もしくはプライバシーを守る私的な空間のように、状況に応じて使い分けることができるのです。
このような空間は家の中からでも楽しむことができます。それを可能にするのは家と中庭の曖昧な境界。2つの空間の間には収納可能なガラス戸があり、大きく開け放つことができます。ガラス戸を収納すると中庭と家を区切るものは何もありません。そのため中庭に射し込む太陽の光やそこに吹き込む風を直に感じることができるでしょう。もちろん中庭が部屋の一部のように感じられるため、圧倒的な開放感を感じることもできます。
本住宅で考えられたのは中庭を最大限に活かした空間。様々な表情を見せる中庭は、収納可能なガラス戸の曖昧な境界によって家に光や風をもたらし、明るく開放的な空間を演出します。もちろん、それは生活に大きな影響をもたらすことになります。そして庭が生み出す心地良い空間は、ここでの生活をきっと素晴らしいものにしてくれるでしょう。