愛着をもって住まう家

Michiko JUTO Michiko JUTO
Shabby House-古着のような家-, 一級建築士事務所アトリエm 一級建築士事務所アトリエm Cửa ra vào
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日本の住宅寿命は平均30年前後と欧米のそれに比べて極端に短いと言われています。ヨーロッパ諸国では築百年、二百年といった古い住宅が現代生活に見合ったスタイルで今でも住まわれています。確かに日本は自然災害が非常に多く、やむを得ず建て替えなければならない事情もありますが、単に「古いから」という理由で建て替えるといった認識はそろそろ再確認される必要があるかもしれません。今回は「住宅に愛着をもって住まう」というシンプルな願いから生まれた住宅を紹介したいと思います。

パリのアパルトマン風の住宅

ATELIER Mが手がけたこの住宅は「shabby house」というプロジェクト名がついていますが、「shabby」とは直訳すれば「着古した」とか「ぼろをまとった」という意味です。昨今ではファッションやデザインの様式用語として使われており、良いものを長く大事に使おうとしたり、自然に古びて行くものに美や価値を見いだそうという動きが様々なデザイン分野で広まりつつあります。外観はご覧のとおり、何となく異国の雰囲気を纏っています。お施主さんの「パリのアパルトマン」といった要望を建物全体に使用した素焼きのレンガや窓のプロポーション及びピッチでうまく表現しています。赤い外国製の郵便ポストや玄関ポーチにさりげなく置かれた木製ベンチが素敵ですね。

アンティークの外国製ドアが引き立つ玄関

玄関ドアはお施主さんが探してきた南仏で使われていた100年前のドアだそうです。何度も塗られたであろう分厚いペンキが歴史を感じさせます。 古いものには新しいものが絶対なし得ない美しさや暖かさがあります。存在感のあるドアとレンガの壁や同色のタイルがお客さんを暖かく迎えてくれます。

光庭のある空間

3階建ての1階は来客のためのスペース、2階に家族のリビングスペース、3階に個室や浴室などプライベートスペースが配置されています。東西に細長い敷きにに建つこの住宅の中央あたりに南側に向って光庭が設けられ、ちょうどキッチンダイニングスペースの脇に当たる光庭は木製ルーバーによってプライバシーを確保しつつ十分に日の光を室内に届けます。家具やフローリングには使うほど良い感じに変化していく素材が選ばれています。

異国のエッセンス

リビングスペースは優しい色調のカーテンやソファを採用することで、落ち着いた雰囲気に仕上がっています。一部壁を組積風にしたりシャンデリアを照明に使うことでインテリアにもパリのアパルトマンの雰囲気がでていますね。

趣味の酒部屋

次にこの家の最大の特徴である1階部分を紹介したいと思います。お施主さん夫婦は人を招いて賑やかに食事をするのが楽しみという方達です。というわけで、来客用の空間作りにこだわったそうです。造り酒屋をまわることが趣味のご主人の要望で酒部屋が作られました。上階や外観とはうってかわって非常に日本的な空間に仕上がっています。

茶室のような小宇宙

3畳間の小さな空間ながらも、ディテールにこだわった素敵な酒部屋です。壁は墨色、天井は葦簀に海老茶の塗装を施しています。まるで茶室のような躙り口から入ると小縁があり、坊主畳2枚分の広さですが、水屋、酒専用のクーラーも備えられています。ここでたしなむお酒はきっと格別な味なのでしょう。

愛着のわくオブジェを取り入れる

好きなことを盛り込んだ家。そんな家は大事に大事にずっと住まわれていくに違いありません。時が経つに連れ、愛情が増し、たくさんの思い出がつまった家。これから日本にも増えていくかもしれませんね。

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